当選あいさつする足立信也氏(右)と吉良州司衆院議員ら民主党県連幹部=12日午前、JR大分駅前
「組織型」脱却を模索
第22回参院選大分選挙区(改選数1)は民主党現職の足立信也氏(53)=国民新党推薦=が自民、共産両党の新人を破って再選を果たし、貴重な1人区の議席を守った。選挙戦を振り返り、今後の各党の課題や戦略を探った。
「民主党が全国的に大敗した結果を真摯(しんし)に受け止める」。投開票から一夜明けた12日早朝、JR大分駅前での民主党県連の街頭演説。足立陣営で選対委員長を務めた梶原九州男県連副代表(県議)は降りしきる雨の中、大分選挙区での勝利を喜ぶ感情を抑え、厳しい口調で訴えた。与党は過半数割れ。昨年の総選挙での大勝から一転、有権者の厳しい審判を突きつけられたことに民主党関係者は危機感を募らせる。
菅直人首相の消費税増税発言などで“逆風”が吹く厳しい戦いを強いられたが、結果は出した。6年前の初当選時から得票数を減らしながらも九州では唯一、1人区の議席を死守。大分市や別府市など11市町で足立氏が自民党候補の得票を上回り、民主に自民と互角以上に戦える地力がついたことをうかがわせた。
選挙区に「候補者を立てない」ことで支援方針を打ち出した社民党の支持層にも食い込んだ。足立氏を推薦した連合大分の嶋崎龍生会長は「逆風の中、与野党の垣根を越えて民主、社民両党の連携ができた。来年の統一地方選、3年後の参院選につながる結果」と両党の実質的な協力が勝因の一つであることを強調。両党の支持労組を束ねる立場から今後も橋渡し役を担うことに前向きな姿勢だ。
民主党県連も今回の勝因の一つに「連合大分や社民党県連合の支援」(小嶋秀行幹事長)を挙げる。一方で、二大政党の一翼としての地歩を固め始めた中、スタンスの変化をうかがわせる声も。梶原氏は「『有権者自ら考え、行動する選挙風土』が県内に根付いてきた」と指摘。党や支持労組をフル稼働させる従来の組織型選挙から草の根選挙への転換が進んでおり、政策や候補者の魅力のアピール戦略をより重視すべきとの考えをほのめかす。
今後の国政選挙での対応について、吉良州司県連代表(衆院議員)は「政党である以上、協力できる部分と競合する部分があるのは当然」とし、候補者擁立へ意欲を示す。民主党は外部の組織とどのような関係で臨もうとするのか、注目される。
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