2010おおいた参院選

順風・逆風(8)経済団体「立ち位置」変化

[2010年07月06日 10:06]

 「政権交代から9カ月余り経過したが、地域経済が上向きそうな兆しは感じられない」。ある経済団体の幹部は、民主党政権が打ち出す施策が地方のためになっていないのではないか―と感じている。
 一例として挙げるのが最低賃金(大分県は現行631円)。政府の雇用戦略対話では800円に引き上げる方向で検討している。
 県内では従業員数が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模企業が87・5%を占める。この幹部は労働者の所得向上には理解を示しながらも、「年収の低い労働者は社会的弱者だが、雇用する中小零細企業も弱者。地方にも一律に同じ水準を求めると、労働者の雇用が減るなど逆効果になりかねない」と不安を隠さない。
 長年自民党を支援してきた県内の経済団体だが、政権交代により立ち位置は変わってきた。ただ、地方議会は依然自民が多数党という事情もあり、多くの団体は民主、自民両党の候補を推薦したり、自主投票にするなど対応はさまざま。
 大分商工会議所の議員で構成する大分商工連盟は大分選挙区で民主、自民両党公認の候補から推薦を要請されたが「(上部団体の)日本商工連盟の方針を参考に『組織的な対応はしない』とお断りした」(武田寛会計責任者)という。
 与党となった民主党だが、県内の企業幹部からは「衆院選のマニフェスト(政権公約)で票になりやすい政策を並べた。円高容認や労働者派遣法の規制強化など、企業には“そっぽ”の政策が国外への生産移転を加速させている」(大手進出企業の管理職)と批判的な声が聞かれる。
 一方で、自民党に対しても「地域経済の浮揚を真剣に考え、日ごろから地元の声に耳を傾ける議員がいなくなった。いわゆる第三極と協力し、厳しい現実に対応できる軌道修正をしなければ、政権担当能力はない」(地場製造業幹部)と厳しい指摘が多い。
 ある団体幹部が打ち明ける。「政党から強引な推薦要請は影を潜めた。以前のように選挙の協力度合いで予算配分に差をつけるにも、公共工事などの“アメ”を用意できなくなったのだろう」。組織だった運動が大きく後退した経済団体の票の行方は、一層分かりにくくなっている。

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