景気回復が実感できない地方経済。建設業関連やIT(情報技術)系など、県内の不況業種は政治に対し、「景気の立て直しに向けてしっかりとした政策立案を」と願う。投票率の低下が心配される中、関係者は選挙に厳しい視線を向けている。
「とうとう、うちには推薦依頼がなく、選挙は盛り上がらなかった。大きくはない団体だが、従業員を含めれば500人程度いる。こんなことは初めて…」。自民党公認の候補には、選挙の度に推薦状を出し続けてきたというある建設関連団体の幹部は、寂しそうな表情を見せた。
公共事業の減少や長引く不況で、県内の需要はピークの2004年から6割近くも落ちた。「会員企業の経営はもう限界。業界の状況を理解してくれる政党に期待したい」と話す。
「コンクリートから人へ」と訴えた民主党政権には拒否感が強い。「かといって野党にも危機感や迫力が足りない」と不満げだ。
リーマン・ショック後、業況の改善がみられない分野の一つが、情報処理業などIT系。オーイーシー(大分市)の高野郷専務は政党のキャッチフレーズを引き合いに出し、「日本のIT投資額の対GDP比は“いちばん”どころではない。韓国、中国、インド、台湾の後塵(こうじん)を拝している」と、国力の低下を心配する。
ある地場企業の経営者(65)=大分市=は「県内の仕事だけでは経営は成り立たず、東京での受注が会社を支えている。日本、とりわけ地方のありようを真剣に考えるとき」と指摘。別の経営者(63)は「民間の事業者は生きるか死ぬかの戦いをしている。6年間解散がない参院議員には、しっかりと勉強して景気を回復させる政策を打ち出してほしい」とも。
いずれも「有権者が問題意識を持って投票することが第一歩」と強調した。
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