当選してバンザイする足立信也氏と菜穂美夫人=11日午後9時37分、大分市内のホテル
開票結果
当 29万4286票 足立 信也 民現
25万7322票 小田原 潔 自新
5万2863票 山下 魁 共新
投票総数 623,679 投票率 62・96%
有効票 604,471 無効票 19,208
昨夏の政権交代後初の本格的な国政選挙となった第22回参院選は11日投開票され、改選54議席以上を目標にした民主党は40台半ばにとどまる大敗を喫し、非改選を含めた与党議席は参院過半数(122議席)を大きく割り込んだ。自民党は改選38から50台に伸ばし改選第1党となった。菅直人首相が掲げた消費税率引き上げ論や政権10カ月の実績に厳しい審判が下った。みんなの党は改選議席ゼロから躍進し10議席を獲得した。首相は記者会見で続投を表明。ただ政権運営が厳しさを増すのは必至で、与党内で首相批判が広がる可能性もある。
与党の現職に野党の新人2人が挑んだ大分選挙区(改選数1)は、民主党現職の足立信也氏(53)=厚生労働政務官、国民新党推薦=が自民党新人の小田原潔氏(46)、共産党新人の山下魁氏(33)を破って再選を果たした。党の組織票に加え、無党派層や候補擁立を見送った社民党支持層にも浸透して逃げ切った。全国的に与党が苦戦した中で1人区の貴重な議席を守った。
足立氏は政務官の公務で運動自体は出遅れたが、党県連組織と個人後援会、推薦する連合大分が活発に動いて挽回(ばんかい)した。与党候補として約60団体から推薦を受け、自民党支持だった医師や福祉関係者などにも食い込んだ。
主戦場の大分市では党県連代表の吉良州司衆院議員の後援組織などがフル回転し、優位を保った。有権者の関心が高い医療、福祉分野の政策立案者としての実績や民主党政権の「改革続行」を訴えて無党派層の支持も集めた。終盤は上滑りを警戒して、手堅く票をまとめた。
小田原氏は自民党県連による公募選出が1月末にずれ込み、活動期間が実質5カ月しかなく、知名度不足が最後まで響いた。
自民党の選挙運動の中心を担う地域組織が弱体化。野党転落によって建設や農業関連など友好団体の組織票も十分に固めきれなかった。公示直前に公明党の選挙協力を取り付け、激しく追い上げたが届かなかった。山下氏は消費税の増税反対を訴えたが、大きく支持を広げられなかった。
大分選挙区の投票率は62・96%。2007年(63・04%)を0・08ポイント下回った。
◆解説◆大分県内で政権交代後初の国政選挙になった参院選大分選挙区は、民主党が現職の議席を守った。全国では民主党に厳しい結果だったが、県内では2小選挙区で勝った昨年の衆院選に続く勝利で、二大政党の一つとしての地歩を固めた。一方、自民党は大敗した衆院選からの再生を期した第一歩の戦いで手痛い負けを喫し、立て直しの道のりは険しくなった。
民主党は期間中の世論調査で県内の政党支持率が自民党と肩を並べ、自民党を支持してきた保守層へも支持を広げていることがうかがえた。
ただ、党を支える地域組織は脆弱(ぜいじゃく)なままだ。今回の選挙運動も吉良州司県連代表の支援者の動きが目立った程度で、支援した連合大分に頼った面が強かった。来春の県議選で勢力を伸ばすには支部組織や議員の後援組織の強化が課題だ。
社民党は今回「候補者を立てないのが支援」として、民主党と微妙な距離を置き、民主党側も積極的に協力を求めなかった。2007年の“分裂選挙”のしこりがまだ残っており、両党の関係が今後どうなるか注目される。
自民党は公募で選んだ新人を「新生自民党を印象付ける候補」と打ち出したが届かず、支持基盤だった地域組織の弱体化や業界団体の離反による党勢の衰えが浮き彫りになった形だ。
自民党県連は04年参院選の大敗後、国政選挙の候補者公募、会長公選制の導入といった改革を進めてきたが、国政選挙で結果が出せていない。執行部体制や県連運営の在り方を再度検証し、出直す必要がありそうだ。
公明党と自民党は選挙協力したが、両党の政策には開きが出ている。今後「野党協力」を続けられるかも問われそうだ。
共産党は公認候補の得票が07年を上回り、一定の支持拡大は果たせた。
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