2010おおいた参院選

視点・論点 県内の大学教授に聞く(上)

[2010年06月18日 10:40]

 7月11日投開票の参院選に向けて事実上の選挙戦がスタート。政党や立候補予定者の論戦は熱を帯びてきた。政権交代後初めての大型国政選挙で問われるさまざまな国政の課題について、大分県内の大学教授らに争点は何か、有権者はどこに視点を置いて考えるとよいかを聞いた。

瀬川紘一・日本文理大学副学長兼経営経済学部長
“痛み”にも心構えを

 1992年のバブル崩壊は近代日本にとって明治維新、太平洋戦争の敗戦に匹敵する転換点だった。菅直人首相は所信表明演説で以後約20年の閉塞(へいそく)感の原因に政治のリーダーシップの欠如を挙げたが、政治は社会、経済の大きな変化に対応してこなかった。小泉純一郎元首相だけは果敢に挑戦したが、「構造改革路線は格差拡大で日本にそぐわない」とはねつけられたと私は見ている。
 昨年の衆院選で有権者は「このままではだめだ」と、「政治主導」を掲げて福祉社会ともいえる将来像を提示した民主党を選択した。鳩山内閣が行き詰まったのは首相の資質の問題もあったが、マニフェスト(政権公約)に無理があった。今は「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」を選ぶ時。中長期的なビジョンが欠けていた。参院選は政権交代の原点に立ち返った仕切り直しの選挙になる。
 二大政党制でどのような政治のシステムを構築するかも問われている。例えば税制改正など国民に負担を強いる課題は与野党を超えて協議すべきだ。今は対立だけで重要な判断が遅れ、国益に影響する状況が出ている。自民党など野党側も考え方を提示してほしい。政治がどのような日本の将来像を示すかも大事だ。
 近年、有権者は何が問われているか分からず、「劇場型」という言葉通り、見かけや勢いに乗る面があった。政党や政治家の主張を読み解いて考える「政治リテラシー」が求められている。「あれかこれか」を選ぶ時には負担、痛みもある。その心構えで選択できるかが重要ではないか。

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