候補者の顔が並ぶポスター掲示板。普天間問題の議論は「二の次」に追いやられている=8日午後、大分市中心部
参院選の投開票日(11日)が迫り、各候補者の「お願いコール」も一段と熱を帯びてきた。鳩山由紀夫前首相を退陣に追い込むなど、夏が来る前までは国民最大の関心事だった米軍普天間飛行場(沖縄県)の移設問題。民意を問うには絶好の国政選挙にもかかわらず、選挙カーのスピーカーから「沖縄」という言葉は聞こえてこない。
「何とかしたい、とは思うんですが…」。別府市内の主婦(27)は現在、幼児2人を育てている。夫は自衛官。もちろん、普天間問題は参院選の大きな争点の一つと考えている。
でも―。「今回は消費税や子育てなどの面から一票を投じるつもり。今は目の前の生活の方が大事」と本音を漏らす。
増税、景気・雇用対策、財政再建、社会保障…。参院選では国民の暮らしに直結する施策(公約)に衆目が集まり、普天間問題は脇に追いやられた格好だ。
大分市内の会社員男性(48)はどこか、ふに落ちない。「沖縄の『痛み』をどうしていくか。本格的な論議のスタートにすべきなのに…」。同問題に積極的に触れようとしない民主、自民の二大政党にもどかしさを感じる、という。
5月の日米合意で決まった普天間飛行場の辺野古(沖縄県名護市)への移設について、政府はその位置や工法の検討期限を8月末と設定している。
▽小田原潔氏=自民党=「長い年月をかけて詰めた現行案しか方法はない。沖縄には別の方法で負担軽減を提案すべきだ」
▽足立信也氏=民主党=「沖縄の負担軽減には熟慮と討議が必要。前政権の全国知事会への協力(訓練分散)要請は評価できる」
▽山下魁氏=共産党=「『辺野古移設ノー』は沖縄の総意。日米合意撤回、(基地の)無条件撤去を米側に要求する」
県内の各候補はそう主張するが、いまひとつ、県民の胸に響いてこない。
米軍基地がなぜ必要で、なぜ不要なのか。中津市内の会社員女性(52)は言った。「もっともっと議論すべきです」
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