足立信也氏の出陣式。来賓の中に社民党関係者の姿はなかった=6月24日、大分市の大手公園
6月30日に大分市内であった社民党県連合の支部幹事長会議。居並ぶ社民関係者を前に大分選挙区の民主党現職、足立信也候補(53)への支援を要請した民主党県連の小嶋秀行幹事長は過去に現職候補が落選した厳しい大分選挙区土壌を引き合いに出し、危機感をあらわにした。「背筋の凍る思いで戦っている」
選挙区に候補者を擁立しないことが支援―。社民党県連合の参院選でのスタンスだ。要請を受けた内田淳一代表は具体的な支援内容は明言しなかったが、「候補者を擁立しないことには、選挙協力を広範囲で進めるとの意味もある」と足立氏支援に前向きな姿勢を示唆した。
県内の民主党と社民党は2000年の衆院選で、両党支持労組を束ねる連合大分を仲介役にした「大分方式」の協力を確立。その後の国政選挙も共闘してきた。
だが、07年参院選で両党がそれぞれ別の候補者を推して協力関係は破綻(はたん)。大分方式に沿って、独自候補を立てる構図を思い描いていた社民党や支持組織の間には、民主党県連や、県連代表代行を務める足立氏への「割り切れない思いが残った」(社民党地方組織幹部)。
ある県連合幹部は複雑な支持者感情を踏まえ、「支援を詰める環境ではない。緩やかな協力態勢の方が両党にとって有益」と指摘する。社民党は今回、比例に立候補した県連合副代表の吉田忠智氏(54)=元県議=の選挙に全力を傾注。「比例で吉田氏に投票すれば、選挙区の受け皿は足立氏」という図式が機能するかは未知数だ。
昨年の衆院選で政権交代が実現したが、米軍普天間飛行場の移設問題をきっかけに社民党が連立を離脱。連合大分は国政で与野党に分かれた両党の関係維持に苦心することになった。
吉田氏の出身母体である自治労県本部をはじめ、各産別が比例中心の活動に走る中、組織内でも足立氏支援への動きに温度差がある。それでも嶋崎龍生会長は「多少ぎくしゃくする面はあるだろうが、まずは3者の協力態勢ができたこと自体が大事」と、前向きに受け止める。
両党の微妙な関係の中で生まれた今回の協力態勢。どんな結果を導くのか。
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