火災から1週間。別府市光町の火災現場では後片付けをする住民の姿も=19日午前
別府市光町で発生した火災から20日で1週間。住宅やアパートなど27棟を全焼し、1人が死亡、30世帯56人が家を失った。焼け野原となった一画には立ち入り禁止のテープが張られたままで、被災者の三分の一は今もホテルでの仮住まいを続けている。同市では戦後最悪の大火となる可能性もあり、大きな傷跡を残している。
【火災現場】警察と消防による実況見分が終了。徐々に片付けが始まり、「風で飛ぶと近所に迷惑だから」と焼けたトタンを運び出す住民も。被害を受けた実家に通う日出町の主婦大野貴美子さん(55)は、土や割れたガラスが散乱する道路を毎日掃除。焼け跡を見詰め、「入院中のおばあちゃんはまだ火事のことを知らない。なんて言ったらいいのか」とつぶやいた。
【被災者】12世帯18人は今も無償提供された近くのホテルに滞在。親類や知人宅に身を寄せた人、民間住宅に移った人もいる。11世帯19人は市営住宅、県営住宅への入居を決めており、18日以降、順次、引っ越し。21日にホテルを出て、市営住宅に入居する女性(86)は「家族同様だった隣人がだんだん離れ離れになって寂しい。早く新しい家になじみたい」。
【支援】市民らから別府市に寄せられた義援金は83件・約387万円。旅行中に市役所に届けた愛知県の観光客もいた。物資はタオルや衣類、米、飲料など64件で、22日に被災者に配布する予定。「ほかにも電話で提供の申し出があり、被災者の要望を聞いた上で連絡を取ることにしている」と同市。慰労夕食会を開いた企業、無償で髪をカットする美容院もあった。
【出火原因】別府署は住民の証言などから、火元は全焼した「松岡アパート東棟」とほぼ断定。アパート敷地内からは複数の電気ストーブ、灯油ストーブ、こんろなどが見つかっており、県警科学捜査研究所で鑑定中。被災者以外に新たな事情を知っている人がいないか、30人態勢で現場周辺の聞き込みを続けている。
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