バケツリレーで火災の拡大を食い止めた末広町の住民ら
別府市光町で13日深夜に起きた大火で、飛び火被害が出た隣の末広町では、バケツリレーが火災の拡大を防いだ。火災予防に取り組む末広町壮年会(亀井秀郎会長)を中心に住民がまとまり、非常事態に力を発揮した。
関係者の話を総合すると、13日午後11時ごろ、光町からの飛び火が末広町の鳥津敏行さん方(鉄骨3階建て)に移り、屋上ベランダ部分から出火。町内を警戒中の会員が見つけ、「バケツに水をくんで持ってこい」と叫んだ。この声に十数人の住民が駆け付けた。
1階の玄関から階段伝いに並び、持ち寄ったバケツ30個ほどをリレー。強風などのため、消したと思えば、また火が出てくる状況の中、バケツが足りなくなると鍋やヤカンも使い、ほぼ鎮圧。駆け付けた消防車の放水で完全に消えた。鳥津さんの妻紗代子さんは「火が小さいうちに、よく見つけてくれた。驚きと怖さで足が震えている時に、皆さんの存在は心強かった」。
壮年会元会長、高橋保行さん(64)は両手にバケツを持って家を飛び出した。「必死だった。いつの間にか多くの人が参加していた」と振り返る。リレーに加わった自治会副会長の谷脇誠さん(70)も「一声ですぐにまとまり消火作業ができたのは、普段からの防火意識と、会の団結力の強さがあるからだと思う」と話した。
壮年会は30年ほど前に町内であった火災を契機に、年末夜には会員が交代で火の用心を呼び掛ける「夜警」を続けている。壮年会会員でもある甲斐時文自治会長は「子ども会の廃品回収など町内の活動にも積極的で、地域に不可欠な存在」と話す。
市消防本部は「被害の拡大防止には初期消火活動が不可欠。バケツリレーは非常に効果的だった」と評価している。
<ポイント>
別府市末広町
大火となった光町の東側。狭い路地や木造の建物が多い。379世帯・619人(昨年12月末現在)が住んでおり、65歳以上の高齢者は43%(266人)と、市平均(28%)より高い。
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。