工藤さんが座っていたベンチ=17日、JR別府駅構内の商業施設
別府市光町で13日に起きた火災で、火元とみられるアパートに住み、行方が分からなくなっていたパート従業員工藤勝蔵さん(54)が17日、JR別府駅構内の商業施設で見つかった。別府署によると、工藤さんは出火当時、アパートの自室にいて、手と足に軽いけが。その後は市内の公園で寝泊まりしていたと話しており、今後、詳しく事情を聴く。
同署によると、午前11時ごろ、工藤さんの知人男性から同署に情報があり、商業施設のベンチに座っていた工藤さんを署員が確認した。両手のひらと右足の裏にやけどを負い、右足の指先を骨折。同署での事情聴取の後、市内の病院に入院した。
工藤さんは素足にサンダルを履き、青いトレーナーにジーパン姿。所持品はアパートの鍵だけだった。火災後は1人で行動し、食事はほとんど取らず、昼間は市内の公園で過ごし、夜は公園のトイレで寝ていたという。
「自分が捜されていると思っていたが、携帯電話を持ち出さなかったため誰にも連絡できなかった」と話しているという。同署は体調の回復を待って詳しく事情を聴く方針。
同日午前、商業施設で工藤さんを目撃した女性は、「その時、工藤さんと一緒にいた女性から『火災の時、着の身着のまま逃げ出し、(自分の部屋があった)2階から飛び降りたと工藤さんが話していた』と聞いた。工藤さんは終始無言だった」と話した。
火災では2人が行方不明となった。14日には焼け跡から70~80代とみられる女性の遺体が見つかっており、同署は連絡が取れない中尾月曜(つきよ)さん(82)ではないかとみて確認を急いでいる。
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