別府市光町の住宅密集地で13日深夜に起きた火災は、発生から約5時間半後の14日午前3時40分ごろ消えた。その後、約150メートル離れた末広町の1棟が早朝に再燃。別府署によると、アパートや民家など計26棟(計約2500平方メートル)を全焼、被災者は31世帯の48人に上った。このうち、火元とみられるアパートの男性(50代)と隣接するアパートの女性(82)の2人と連絡が取れなくなっており、行方を捜している。県警と市消防本部は同日午前10時半から、実況見分を始め、出火原因などを調べている。
火災から一夜明けた現場は、黒焦げになった建物跡の所々から白い煙が上がり、付近には粉々になったガラスや瓦が散乱していた。県警21人と消防13人が、がれきの中に入って調査。近隣の人や被災者らが警察の規制テープを取り囲んで、見分の様子を見つめた。自宅が全焼した女性は「影も形もない」とぼうぜんと話した。
同署などによると、燃えたのは▼アパート3棟(被災者18人)▼民家16棟(28人)▼店舗2棟(2人)▼空き家4棟▼倉庫1棟。午前11時現在も、近くの錦栄公民館には、12世帯21人が避難している。
市消防本部によると、出火当時は、風速11・4メートルの強い北西の風が吹いており、県中部には風雪注意報が出ていた。現場は古い木造建造物がひしめいており、消火活動が難航、強風にあおられて被害が拡大したとみられる。
強風で火の粉が広範囲に飛び、現場から最大で約230メートル離れた末広町の建物など3棟にも飛び火した。
明け方に再燃
火災発生から約8時間後の14日午前6時23分ごろ、飛び火した別府市末広町の木造長屋が再燃し、全焼した。
長屋は同日未明に一部を焼いたが、市消防署が消し止めていた。長屋は2世帯分あり、一つは無人。
住人の80代の夫婦は「朝まで眠れなかった。バチバチと音が聞こえたため、外に出たら屋根から煙が出ていた。できれば消したかった」と悔しそうに話した。
「全面的に支援」 市長と知事が訪問
浜田博別府市長は14日午前1時半ごろ、被災者が避難した近くの錦栄公民館を訪れ、「寒いだろうけど、風邪をひかないように」などと声を掛けて回った。「市職員を配置し、全面的に支援したい」と述べた。
火災現場も視察し「防災体制をしっかりと見直していかないといけない」と話した。
同日午前10時45分、広瀬勝貞知事が浜田市長の案内で火災現場などを訪れた。
市営住宅16戸無償で貸与へ
別府市は14日、被災した住民の所在確認などの情報収集を進めるとともに、市営住宅を紹介する準備を始めた。
市によると、被災者は避難場所となった近くの錦栄公民館や親類の家などに身を寄せているという。
市は、同日朝から同公民館に保健師2人を派遣。また、すぐに入居可能な市営住宅16戸をリストアップ。3カ月間、無償貸与することを決め、市社会福祉課が被災者に入居の意向などを確認している。水道管、温泉管も一部に被害があり、復旧作業の準備に入った。
亀の井ホテルも客室
別府亀の井ホテル(別府市中央町)は14日から、火災で住宅を失った被災者に対し、客室を無償で提供することを決めた。提供期間は検討中だが、空室がある限り受け入れたいという。
同社の小林準治総店長は「困ったときはお互いさま。地元企業としてできることをしたい」と話した。
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