映画 種まく旅人~みのりの茶~

大分だからこそできた映画 インタビュー

[2012年02月28日 10:48]

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インタビューに答える(左から)田中麗奈、陣内孝則、塩屋俊監督

 映画を魅力的にするのはやっぱり主役! 「種まく旅人~みのりの茶~」の主人公大宮金次郎役はコミカルな役からシリアスな役までオールラウンドにこなす陣内孝則。ヒロイン・森川みのり役は高い演技力で邦画界に欠かせない存在になった田中麗奈。旬の2人と塩屋俊監督にインタビューした。

人生の生きるヒントがたくさん隠されて…(田中)
 ―塩屋監督から出演の話があった時の感想は?
 陣内 僕は塩屋監督の前作「ふたたび swing me again」に出ている。その時、監督が「次は農業の映画を撮りたい」と言っていた。「新しい切り口ですね」と人ごとのように思っていたが、まさか、自分に回ってくるとは…(笑)。でも、主役は光栄だし、自分にとってもチャンス。特に塩屋監督とは役者時代から長い付き合いなので、何とか期待に応えたいと思った。
 田中 大事件や、人生の大きなどんでん返しなどはないけれど、静かにゆっくりとストーリーが進み、人生の生きるヒントがたくさん隠されていて…。見終わった時に「あぁ、いい映画見たな」とつぶやくお客さんの顔が浮かぶようなすてきなお話。素直にみのりを演じようと心掛けた。

僕のDNAの中に大地に共鳴する何かが…(陣内)
 ―金次郎とみのりの人物像をどう捉え、どう表現しようとしたか?
 陣内 金次郎にはバブル時代は肩で風を切って歩いていたが、ある挫折があり、土によって人間として再生された経験が背景にある。役所での顔と、農家にいる時の顔にメリハリをつけたかった。僕自身、土いじりをしていると癒やされた。もちろん、実際の農家の現場はそんなに簡単で生易しいものではないと思うが、僕のDNAの中に大地に共鳴する何かがあるような気がして、それを生かして自分なりに演じた。楽しかったですよ。ただ、土を食べさせられたりとか大変でしたけど…(笑)。
 田中 みのりは都会でデザイナーをしていたが、辞めざるを得なくなった。茶畑で作業するみのりが生きるヒントを自分自身で感じ、変化していく表情を出したかった。無駄なものがそぎ落とされて、最後は彼女らしく笑えたらいいなというイメージを持って演じた。個人的にもこれでいいのか?と問い掛ける体験もでき、いい勉強になった。

 ―大分ロケでの印象深いエピソードや思い出は?
 陣内 この映画には各地の婦人会や青年団などの人たちがエキストラも含めて千人以上参加しているんじゃないかな。演技経験のない人がリアルに演じていて、頼もしかった。大分県の皆さんがそれぞれの役柄に真(しん)摯(し)に向き合って成立した映画だと思う。いつも地元の方がおいしい昼食を作ってくれた。特にふぐ料理がうまかった。
 田中 ロケでの食事は本当においしかった! 私はゆずこしょうが大好きなんですが、手作りのものを初めて食べて感動した。高橋製茶のお茶は最高! 寒い時の撮影だったので、体に染みわたった。飲むたびに、ロケを頑張ろうと元気が湧きました。

農業はアートと思う、ぜひシリーズ化したい(塩屋)
 ―最後に塩屋監督からひとこと。
 塩屋 農業はアートだと思う。戦後、日本は工業一辺倒で来たが、21世紀の産業をどうするのか、文化面での豊かさをどう見いだすかをこの作品で考えるきっかけになればと思う。この映画はぜひシリーズ化したい。後日談として金ちゃんにみのりの茶畑はどうなったのかと訪ねてほしい。農業は継続する事業だから、どう継いで、どう進化したのかを映画で描きたい。大分の皆さん、楽しみにしてください!

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